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2021年度もやってまいりましょう!
今年も全国の公立高校入試の国語にて、
哲学・思想を扱う問題文を出題する都道府県を
ピックアップしていきます。
今年は豊作です(笑)。
群馬県
近内悠太『世界は贈与でできている―資本主義の「すきま」を埋める倫理学』(NewsPicksパブリッシング、2020.)
著者の近内氏は、ウィトゲンシュタイン哲学を
ご専門とする哲学研究者です。
出題された課題文も
ウィトゲンシュタインの「直示的定義」という概念を
解釈するところから、
彼の著作『哲学探究』において
「語の意味とは語の使用である」という言葉に示唆される
ウィトゲンシュタインの言語哲学について、
非常にわかりやすく説明している箇所です。
東京都立立川高校・埼玉県・京都府
河野哲也『人は語り続けるとき、考えていない 対話と思考の哲学』(岩波書店、2019.)
河野先生は、現象学や心の哲学を専門としつつ、
「哲学対話」を実践する研究者です。
現在は、立教大学文学部教育学科教授です。
哲学対話の効用や哲学的意義を明らかにする議論は、
子どもたちとの哲学対話を
長年行ってきた著者の実践にもとづいているため
非常に説得力があり、
現行の職業哲学研究者へのアンチテーゼや
教育に対する疑義も含まれている点で
非常にスリリングであり、
著者独自の「対話の哲学」が展開されています。
子どもたちに向き合う姿勢を
新たな局面から問う好著です。
東京都立国立高校
宇野常寛『遅いインターネット』(幻冬舎、2020.)
宇野常寛氏は、
アニメーションや特撮といったサブカルチャーから
現代の世相を分析して見せる本格の評論家です。
「私たちはいまあえて速すぎる情報の消費速度に抗って、少し立ち止まって、ゆっくりと
情報を咀嚼して消化できるインターネットの使い方を考えてみたいと思っています。い
ま必要なのは、もっと「遅い」インターネットだ。それが私たちの結論です。」
(「遅いインターネット」より:https://slowinternet.jp/)
上記のように述べ、
著者独自のインターネットへの向き合い方や
言論や批評のあり方を問う本作は、
デジタルネイティブ世代にあたる
若い中高生のみなさんにこそ、
ぜひ読んでもらいたい本です。
岡山県
梶谷真司『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』(幻冬舎、2018.)
巣鴨高校の2020年度国語入試問題も
本書から出題されていました。
岡山県での出題箇所は、
対話を通じた他者との関係の中に現れる自由
について述べられている箇所です。
高知県
岡本裕一朗/深谷信介『ほんとうの「哲学」の話をしよう - 哲学者と広告マンの対話』(中央公論新社、2019年.)
哲学者である岡本裕一朗先生と、
マーケティングやブランディング、都市デザインを扱い、
広告業に携わる深谷信介氏(博報堂)との
異色のコラボレーション対談です。
課題文では、記憶と想起という
哲学において伝統的なテーマを軸としながら、
情報というものについてどのように考えるか
議論がなされている箇所です。
広島大学付属高校
戸谷洋志「科学技術と想像力―ビクティニとトピカ」(『世界思想』47号より)
個人的には今回ピックアップした課題文のなかで
もっとも刺激的でおもしろいものでした。
戸谷先生は、20世紀の哲学者ハンス・ヨナスなど
現代ドイツ思想を中心にしながら、
テクノロジーと社会の関係を研究する
気鋭の哲学研究者です。
課題文は、ポケモンの「ビクティニ」という
キャラクターを原子力の表象であると解釈しながら
(最初からいきなりおもしろい!)、
近代イタリアの哲学者ジャンバティスタ・ヴィーコの
二つの概念(「クリティカ」と「トピカ」)を
補助線として用い
(ここでヴィーコを出してくる
戸谷先生の研究者としての力量が半端ない!)
ハンス・ヨナスがオルダス・ハクスリーの
『すばらしい新世界』に見出す想像力によって、
原子力すなわち我々の科学技術への向き合い方を
問う内容となっています。
この課題文を出題する
広島大付属校の先生、センスが良過ぎます(笑)。