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2018年度:【都立進学重点校】入試問題における哲学・思想系課題文の分析・解説

18年11月23日

都立進学重点校

西・日比谷・国立・戸山・青山・八王子東・立川

 

国語入試問題の大問4は、

毎年、哲学や思想を扱った問題が出題されています。

 

2018年の問題をピックアップして、評を述べてみました。

 

進学重点校を受験予定の生徒は、

自分の志望校だけでなく、

他校の問題にも取り組んでおくと、

実力を養えると思いますので、参考にしてみてください。

 

【都立西】

佐伯啓思「経済成長主義への決別」

 

課題文は、「人間的なもの」を置き去りにして、

経済的拡大と拡張を是とする

グローバル資本主義を批判する内容。

 

著者は、日本を代表する経済学者、社会思想家。

 

近年は、日本思想史・日本の哲学にも守備範囲を広げる、

まさに「知の巨人」。

 

著作も多数あり、

今後、高校入試、大学入試でも取り上げられることが予想される。

 

特に、グローバリズム、グローバル資本主義に対する批判は、

現代社会を批判的に見直す一つの視点として有効であり、

受験生諸君もなじんでおく必要がある。

 

 

【都立日比谷】

西谷修「世界史の臨界」

 

課題文は、歴史の成立、歴史を記述することの

意義や成り立ちを考察する内容であり、

 

近年の悪い意味での

歴史修正主義への警鐘とも読むことができる

重要な箇所の論考。

 

著者は、フランス現代思想研究を基軸に、

グローバル化によって引き起こされる複合的問題を、

認識論を踏まえた思想史的観点から取り扱う。

 

著者の関心の幅や、射程は恐ろしく広く、かつ切れ味も鋭い。

西谷の文章も大学入試では頻出。

 

 

【都立国立】

久保田裕之「社会を『共有』する」

 

課題文は、「共有」、「私有」といった概念を軸に、

物の所有のあり方から社会構造を分析し、

 

グローバリズムや経済至上主義に対して、

新たな共同意識に基づく連帯のあり方を考えさせる内容。

 

著者は、家族をテーマとした家族社会学を探求し、

先鋭的な論考も多数ある。

 

 

【都立戸山】

鷲田清一「哲学の使い方」

 

課題文は、

わからないものをわからないままに対峙する

重要性を訴える文章。

 

答えのない問いに向き合わなければならない、

これからの時代の生き方を示唆する論考。

 

著者は、臨床哲学・倫理学を専門とする哲学者。

大学入試にも多数課題文が出題されている。

 

著者の文章は、

現行の国語の教科書にも採用されていることから、

今後も入試問題で取り上げられる可能性は大きい。

 

 

【都立青山】

長谷川宏「高校生のための哲学入門」

 

課題文は、思春期・青年期における自己との対峙が、

近代社会における人間の成長を促し、

 

近代における自己の確立とは、

世界からずれた自分に向き合うことであることを主張する内容。

 

著者は、一切大学には就職所属せず、

自宅で学習塾を開くかたわら、

原書でヘーゲルを読む会を主宰する在野の哲学研究者。

 

 

【都立八王子東】

田口茂「<交差点>としての時間」

 

課題文は、過去・現在・未来のあり方を

「交差点」を軸として考える、時間論。

 

著者は、E・フッサールの現象学、

西田幾多郎・田辺元の哲学、

「意識」をめぐる科学者との共同研究、

主に自我・自己論、間主観性論、明証論に取り組んできた。

 

近年は神経科学・数学・ロボティクス・情報科学の研究者と

共同で「意識」の学際的研究に取り組んでいる。

 

純粋に哲学的な問題としておもしろいということもあるが、

時間論は特に入試問題でなぜか出題されやすい。

 

 

【都立立川】

好井裕明「違和感から始まる社会学」

 

課題文は、社会学におけるフィールドワークを取り上げ、

フィールドワークの意義から、知ることの本質を説明する文章。

 

著者は、差別問題、原爆映画やドキュメンタリーの解読、

社会問題の生活史を扱う社会学者。

 

 

 

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