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2020年度:全国高校入試問題における哲学・思想系課題文①

20年09月11日

 

さて、今年も全国の公立高校入試の国語にて、

哲学・思想を扱う問題文を出題する都道府県を

ピックアップしていきます。

 

下記、記事において見られるように、

課題文においてよく出題された本はありました。

 

2020年度:公立高校入試・国語・評論文!複数出題の出典から知的突破力を養成しよう!

 

2020年度の公立高校入試の国語課題文において、

純粋に哲学・思想系と言えるのは、以下のみでした。

 

①群馬県:伊藤邦武『宇宙はなぜ哲学の問題になるのか』

(ちくまプリマー新書、2019.)

 

②香川県:出典表記は「岩崎武雄の文章より」

(おそらく、岩崎武雄『哲学のすすめ』)

 

③東京都立国分寺高校:猪木武徳『自由の思想史』

(新潮選書、2016.)

 

 

群馬県:伊藤邦武『宇宙はなぜ哲学の問題になるのか』

 

 

伊藤先生の本の引用箇所は、

天動説から地動説への転換点、

コペルニクス的転回の意義を説明する文章の一部であり、

 

この転回が西洋近代思想へ

もたらす意義を説明する直前で終わってしまっていますから、

あと少しでもっと面白いところだったのに!

という感じですね(笑)。

 

伊藤邦武先生は、

パースやジェイムズといった哲学者を中心に

アメリカ哲学の研究をご専門としています。

 

伊藤先生のこの本自体はざっくり言ってしまえば、

カント哲学で宇宙論を考える、という内容です。

 

プリマー新書でよう攻めるなぁ、と(やりたい放題、笑)。

タイトル勝ちですね、これは(悪口じゃない!)。

 

 

香川県:出典表記は「岩崎武雄の文章より」

 

 

香川県出題、岩崎武雄先生の文章のほうは、

哲学と科学との関係を説明したうえで、

哲学という営みの必要性を説く内容の一部です。

 

かつて、日本哲学会会長も務められ、

カント研究の泰斗でもあった岩崎先生の文章を、

「今」出してくる香川県入試委員の先生は、

渋い、かな~り渋い(笑)。

 

 

東京都立国分寺高校:猪木武徳『自由の思想史』

 

 

国分寺高校、猪木先生の『自由の思想史』は、

先生のご専門の経済学にとどまらず、

該博な知識を縦横無尽に展開し、

広く「自由の思想」を考察する重厚な本です。

 

岩井克人先生もそうだけれど、

日本の「超一流」の経済学者って、

なんでこんなに何でも知っていて、おもしろいんだろう!

 

国分寺高校における課題文の箇所も

きちんと読解するにはなかなか歯ごたえのある文章で、

アイザイア・バーリンの二つの自由概念を俯瞰したうえで、

知識論を展開する内容となっています。

 

これ読ませるのかぁ!となかなかの驚きを得ました(笑)。

攻めてます、国分寺!

 

どうも今年は、公立高校では純粋に哲学、思想と呼べる文章は

あまりないなぁと思って、

電話帳の国立・私立高校に目を向けたら、

あら!、哲学・思想系文章が目白押し!

 

次回に続きます!

 

 

 

 

 

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