2019年度北海道立高校入試社会より。
テーマ:抽象化による暗記量の削減
2019年度:北海道大問4 A 問2
2019年度の北海道入試は
基礎知識を問う問題が大半を占めていました。
この問題も基礎知識といえば基礎知識なのですが
「なんでもかんでも覚えようと(覚えさせようと)しないでね」
という良い例の問題がありましたので取り上げたいと思います。
ダイヤモンド、コバルト、金の生産量上位国からの問題です。
①②③のうち、②のロシア③のオーストラリアは
国名が分からなければなりませんが
①は国名が分からなくて構いません。
(ちなみに①はコンゴ民主共和国です。)
グラフ1には
ダイヤモンド・コバルト・金の円グラフが載っています。
例えば
石油→サウジアラビア、ロシア
や
米→中国、インド
などは
「産品→生産が盛んな国」の組み合わせを覚えるべきです。
しかし、なんでもかんでも覚えていたらキリがありません。
と、いうわけで少し抽象化します。
ダイヤモンド=炭素
コバルト=レアメタル
金=貴金属
という具合です。
すると、
「レアメタルの産出→アフリカで盛ん」という
「具体的な産品→具体的な産出国・生産国」より
1段抽象度の高い暗記事項を活用すべき設問
であることが分かります。
この暗記事項を活用すると、
Y-①だとわかります。
つまり、
「コバルト→コンゴ民主共和国」と
覚える必要はないということです。
(覚えても良いのですが。)
これだけだとウとエが候補に残るので、
「ダイヤモンド→ロシア」
か
「金→オーストラリア」
のどちらか(あるいは両方)を知識として
覚えておく必要があります。
どちらが重要度が高いかというと、
「金→オーストラリア」
です。
なぜかというと、
日本とオーストラリアは貿易での関係が非常に深く
長年にわたって
オーストラリアの最大の貿易相手国は日本でした。
(今は中国がオーストラリアの最大の貿易相手国です。)
そのオーストラリアの輸出品(日本からみれば輸入品)は
詳しく覚えておく必要がある、というわけなのです。
鉄鉱石
石炭
液化天然ガス
金(「きん」です。「かね」じゃないですよ。)
をオーストラリアの主な輸出品として覚えておきましょう。
言い換えれば、
「ダイヤモンド→ロシア」は覚えなくて良いということです。
覚えておいて損はないので、覚えても構いません。
役に立つかもしれませんからね。
問3
テーマ:判断力
この設問も単純な基礎知識の暗記だけでは
正答できない問題ですね。
あ:フランス い:南アフリカ共和国 う:日本 え:ペルー
となっています。
一人あたり国民総所得が高い:日本・フランス→ⅠかⅣ
そのなかで穀物自給率が高い国→Ⅳ=フランス
低い国→Ⅰ=日本
ここまでは基礎知識です。
ここからが問題です。
ⅡとⅢのどちらがペルーでどちらが南アフリカ共和国なのか。
これを決定しなくてはいけません。
決定のための判断は1つではありません。
考えられる判断プロセスは2つ。
①南アフリカには
「金」「ダイヤモンド」「レアメタル」などの
高価な輸出品がある。
→輸出総額がⅡよりⅢのほうが大きい
→Ⅲが南アフリカ共和国(い)
②ペルーにはアンデス山脈がある
→ペルーには平地が少ないかも
=農業に適した土地が少ないかも
→Ⅲと比べて穀物自給率が低いⅡがペルー(え)
このどちらかで判断することとなるでしょう。