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都立進学重点校への道

(9)~進学重点校に合格するために~ その3 早めに決意すること③

14年10月30日

 

『都立進学重点校への道』
<No.9> 「~進学重点校に合格するために~ その3 早めに決意すること③」

進学重点校の「自校(グループ)作成問題」で点数を取れるようにするためには、
「早めの準備」が必要であることはご理解いただけたと思います。

いつからどのような準備をして行く必要があるのか、もう少し具体的にお伝えします。

まず、カリキュラム消化の問題です。
塾に通っている生徒は、中学校の授業進度より少し先を塾で学習しているケースが多いと思います。

一般的な進学塾のカリキュラムは、中学校よりも数ヵ月先を進んでいて、
中3の秋頃にすべての単元消化が終了する形になっていることが多いはずです。

しかし、都立の進学重点校や私立の早慶付属等最難関レベルの高校を受験する場合は、
それだと完全に遅れを取ってしまいます。

入試まで、時間的に間に合わなくなってしまう場合が多いのです。

すべての単元学習を終了してから、
進学重点校の入試問題レベルで点数を取れるようになるまでには、
通常かなりの時間を必要とします。

一般的には、少なくとも半年はかかると考えていいと思います。

進学重点校の入試特有の知識の習得も必要ですし、
実際の入試問題を使用しての実戦トレーニングの回数も数多くこなして行く必要があります。

そう考えると、遅くとも中3の夏休みまでには単元学習を終了して、
本格的な入試対策をスタートする必要があると言えるでしょう。

できれば、中3の1学期までに単元学習を終了し、
夏休みからは総復習と本格的な入試対策に入る形が理想です。

塾(クラス)によっては、中2のうちに(中3の分の)単元学習をすべて終了し、
中3の最初から入試対策のカリキュラムが組まれているところもあります。

学力的に同程度の生徒であれば、中3の秋頃から本格的な対策をスタートした生徒とでは、
合格可能性に大きな差がついてしまうことは否めません。

そのためには、当然中1・中2のうちから前倒しカリキュラムで進めていく必要があります。

一般的には、(少しカリキュラムに余裕があるため)
中1のうちに、中2の範囲をかなり先取りしてしまう塾が多いと思います。

中2の秋~冬には中3範囲の学習をスタートしていることも必須です。

このことからも、中3になってから受験勉強をスタートした生徒が
大きなハンディを抱えてしまうことはご理解いただけると思います。

もう1つは、中1・中2のうちから、
進学重点校の入試を意識したハイレベルな学習を進めていかなくてはならないということです。

それが一番必要な科目は数学です。

中1の最初の正負の数・文字式あたりの単元でも、
中学校で学習するレベルよりも高いレベルの問題に取り組んでいく必要があります。

国語の漢字・英語の単語・熟語に関しても、
中1のうちから質量共にしっかりこなしていかなくてはなりません。

国語・英語については、早い時期から(入試レベルの)長文読解に慣れていく必要があります。

中学校の学習と決定的に違う点は、
入試では(当たり前ですが)その場で初めて見るレベルの高い文章に対応しなくてはならないことと、
長文の分量がかなり多いことです。

国語は中1のうちから、英語は遅くとも中2の秋以降からは入試を意識した長文対策に取り組むべきです。

進学重点校の入試問題の特徴として、記述問題の割合が多いことが挙げられます。
この部分についても、中1・中2のうちから意識して取り組んでいかないと間に合いません。

国語の数十字の記述問題、英語の1行英作文は中1の最初から取り組んでいきましょう。

数学は証明・作図も重要ですが、それ以外の単元についても、
普段から途中式・考え方をノートにきちんと書く習慣をつけることが重要です。
入試本番で途中式も採点対象になっているのです。

このレベルの受験対策は中学生が自分1人で進めることは難しいため、
塾の選び方が重要であることは間違いありません。

その塾(大手の場合は校舎)から、
進学重点校に毎年コンスタントにまとまった数の合格者が出ていれば大丈夫でしょう。

事前にチェックするのであれば、カリキュラムの進度(いつから本格的な入試対策に入るのか)と、
(中1・中2であっても)使用している教材が、進学重点校の入試レベルに対応しているかどうかを確認してください。

記述問題にどのくらい取り組ませているか、
その採点を講師がきちんと行っているかどうかも分かりやすいチェックポイントの1つです。

中学校の教科書準拠レベルの内容しか学習していない場合は、塾が目的に合っていない可能性があります。

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

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後藤高浩

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(8)~進学重点校に合格するために~ その2 早めに決意すること②

14年10月11日

 

『都立進学重点校への道』

「(8)~進学重点校に合格するために~ その2 早めに決意すること②」

 

進学重点校を受験することを早い時期に決めた方がいいもう1つの大きな理由は、

入試問題がかなり難しいために、早めに対策を立てていかないと間に合わない

ということです。

 

進学重点校は、当初から英語・数学・国語の3教科について

「自校作成問題」を使用して入試を行ってきました。

(理科・社会については共通問題を使用しています)

 

高校ごとに問題の傾向・難易度等に違いはありましたが、

共通問題と較べると比較にならないほど難しい(点数を取りにくい)問題なのです。

 

2014年度の入試からは、「グループ作成」という形を取り、

進学重点校の教員が集まって各教科大問ごとに問題を2題ずつ作成し、

各高校がその中からどちらかの問題を選ぶような形になりました。

(大問で1題は高校ごとのオリジナル問題と差し替えることもできます)

 

高校によってはかなり出題傾向や難易度等が変わる可能性も示唆されていましたが、

蓋を開けてみたら、例年と大きく変化はありませんでした。

 

今後もこの傾向は続いていくものと思います。

 

 

 

進学重点校の入試問題がどのくらい難しいかということを、分かりやすくお伝えしてみます。

 

中3の秋頃に、中が高の定期テストではいつも満点近く取っていて(当然内申は5)、

都立の共通問題ではだいたい90点くらい取れるような優秀な生徒が、

進学重点校レベルの対策を何もしていないとすると、

 

英語・国語は30~40点、数学は20~30点(状況によっては1桁もあり得る)

くらいの点数を取ってしまうことが多い状況です。

 

このことだけからしても、どれだけ問題が難しいかはご想像いただけると思います。

 

学習指導要領では中学校の範囲を逸脱していないと言うものの、

必要な知識やスピード、1問1問の問題の難度からすると、

中学校で学習する範囲ではまったく太刀打ちできるレベルではないことは明らかです。

 

問題の形式や出題傾向が違うため単純比較はできませんが、

私立高校で言えば早慶付属高校の入試問題と同レベルの

学力が要求されると考えていただいていいと思います。

 

 

都立共通問題と一番違う点は、(問題の難度はもちろん)国語・英語の長文が長いことと、

解答が記述式の問題の割合が高いことです。

 

現在中1・中2の生徒も、問題や解答用紙の形式の違いだけは早めに見ておくこと

をお勧めします。

 

受験生にとっては、このことだけでもかなりハードルが上がる要素になります。

 

国語では200~250字程度の作文の他に数十字の記述問題、

英語では英作文や単語・熟語を書かせる問題、

数学では証明・作図の他に途中式を書かせる問題が2~3題必ず出題されます。

 

もちろん、途中式・考え方等も採点の対象となります。

 

数学では1問の配点が8点~10点の問題も多いため、決してないがしろにはできないのです。

 

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

 

 

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(7)〜進学重点校に合格するために〜 その1 早めに決意すること①

14年09月27日

 

『都立進学重点校への道』
 
「(7)〜進学重点校に合格するために〜 その1 早めに決意すること①」
 
 
進学重点校を目指すのは、早ければ早い方がいいのです。
 
あくまでも一般論ですが、中3になってから「成績がいいからちょっと受けてみようか、、、」
という程度では合格は難しいと思います。
 
中2の夏くらいから志望校を意識して、
本格的な受験勉強をスタートしようと考えている中学生が多いと思いますが、
それでも遅いくらいです。
 
できれば中1の最初から、
遅くとも中2に進級する時までには進学重点校の受験を(真剣に)決意して欲しいと思います。
 
 
最近は都立中学校の人気が高まっていて、毎年都内で1万人(12歳人口の約10%)程度が受験します。
 
そこで不合格となった生徒は、高校受験でやはり都立の進学重点校を目指して、
中学入学と同時に(進学塾に通っている生徒たちは入学前から)本格的な勉強をスタートしています。
 
実際、ここ数年の入試では、進学重点校に合格した生徒の中で、
都立中受験者(不合格者)の割合がかなり高くなってきているのです。
 
私立中受験者(不合格者)は、高校受験でも私立高校を目指すケースが多いのですが、
その中でも一部の生徒たちは進学重点校の受験に参戦します。
 
中学受験をしている生徒たちは、計算力・語彙力・処理スピード・理社の知識・作文等の記述力等
において、中1の時点で大きなアドバンテージを持っています。
 
特に中学入試を経験していない生徒は、中1の最初からそのレベルの生徒たちに追いつくべく
取り組まないと、(中学校でそこそこできるからといって安心していると)
気付いた時にはもう埋められない大きな差がついてしまっていることになります。
 
 
なぜ、早めに進学重点校の受験を決断する必要があるのか、
大きな理由が2つあります。
 
1つは、中学校の内申点をしっかりと確保する必要があるということです。
 
分かりやすく言ってしまうと、
「内申がオール4では合格が苦しい」
のが進学重点校の受験です。
 
少なくとも4と5が半分ずつ、できればオール5近くを確保したいところです。
 
特に現在の中2以降の学年は、
1割の特別選考枠(内申が関係なく本番の点数のみで合否を決定する)が
廃止になりますし、実技教科の点数が2倍となるため(現在の中3までは1.3倍)
その傾向がますます強くなると考えられています。
 
 
内申点は、中3の2学期の分が入試で使われると言われていますが、
実際には中1のうちである程度決まってしまうのが現状です。
 
中1のうちに内申点が悪かった生徒が、中3になってからかなり上がったというケースは
ほとんど聞きません。
 
(特に実技教科は)先生の主観の要素が大きい事も理由です。
 
中1の最初の中間テスト(実技科目は期末テスト)の結果もとても重要ですし、
授業態度(積極性も含む)・提出物の内容等、内申点で5を取れるような取り組みを
最初からして行く必要があるのです。
 
(文責:GS進学教室 後藤高浩)

 

 

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(6)進学重点校の大学進学実績はなぜ改善できたのか?<その4>

14年09月19日

 

『都立進学重点校への道』

(6)進学重点校の大学進学実績はなぜ改善できたのか?<その4>

 

もちろん、高校内部の直接的な受験指導体制についても、

進学重点校に指定されてから大きく変化しました。

 

高校による濃淡はありますが、ひと言でいうと

「学校を挙げて難関大学に合格させる」という意図が随所に垣間見えるようになりました。

 

私立の中高一貫校に較べて、カリキュラム進度が極端に速いわけではありませんが、

高1のうちから大学入試を意識してハイレベルな授業が行われていますし、

 

高3になると「実際の入試問題でどうやって点数を取るのか」という点に

的を絞った授業が展開されています。

 

先生たちから日常的に、

「(学校の授業以外で)1日に〇時間以上の学習時間を確保するように」と

うるさく言われることも多いと聞きます。

 

 

高1の早い段階から、校内手作り模試や外部の業者模試を実施し、

その結果を生徒はもちろん指導する教員の側にもフィードバックして、

生徒面談や職員の研修会に利用されています。

 

都教委が主催して、学校の枠を越えた研修会も定期的に実施しています。

 

生徒たちの意識を高めるために、大学入試に関する講演会や、

OBを招いてのガイダンスを校内で実施する機会も増えました。

 

様々な手段で生徒たちの受験生としてのモチベーションを

上げようとしている様子が伝わってきます。

 

 

一番大きな変化は、正規の授業時間外での指導体制に見られます。

朝の始業前や放課後、授業のない土曜日や夏期休業中の指導が大きく変わりました。

 

進学重点校では、「加配教員」と言って

他の高校より少し多めに教員配置がされているのですが、

 

そのメリットを利用して、補習や質問受付の体制を敷いている高校がほとんどです。

 

例えば、放課後一定の時間までは主要3科目の質問がいつでも受けられるように

質問・相談ルームを開放していたり、

 

土曜日の決まった時間に毎週特定の科目の補習が組まれていたりしています。

 

西高校では、学校の敷地内に「自習会館」が設置されていあて、

毎日夜8時まで利用できるようになっています。

 

「みんなが必死に勉強しているので集中して取り組める」という話をよく聞きますが、

東大をはじめとする難関大学に進学したOBがチューターとして常駐していて

(先生も時々巡回してくれる)、質問や相談も受けてくれるようです。

 

 

どこの高校も、特に高3生について夏期休業中の講習がなかなか充実しています。

 

受験に必要な科目はほとんど講座が設定されていて、

多くの生徒たちが参加しています。

私の教え子たちの中でも、夏は予備校に通わずに、

高校の講習だけに参加して難関大学に合格して行った生徒も少なくありません。

 

講座の取り方にもよるのでしょうが、

夏休み1カ月半のうち、朝から夕方まで30日くらい学校に拘束されていた生徒もいます。

 

本当に、予備校泣かせですね(笑)

 

まとめると、

「進学重点校は、優秀な生徒を集めて、高1のうちから受験を意識させて取り組ませて、

(特に高3になってから)勉強の質と量を確保させているので大学受験で結果が出るようになった」

ということになるのではないでしょうか。

 

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

 

 

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(5)進学重点校の大学進学実績はなぜ改善できたのか?<その3>

14年09月04日

 

『都立進学重点校への道』

(5)進学重点校の大学進学実績はなぜ改善できたのか?<その3>

 

競争意識という点で言うと、もちろん学校の中での生徒たちの競争意識も

以前に較べると格段に高まっています。

 

大学受験に向けての空気と言ってもいいかもしれません。

 

進学重点校に入学した時点で、ほとんどの生徒が「国立大学を目指す」

という共通認識を持っていることがとても大きいのです。

 

特に日比谷・西・国立は、東大・東工大・一橋大・国立大の医学部等、

まずは最難関を目指して当然という雰囲気があります。

(実際は1年ごとに少しずつ挫折していき、現実な選択をする生徒の

割合もふえていくわけですが・・・)

 

 

普段の学習への取り組みにおいて、姿勢や情報等が共有化されていきます。

部活の先輩を通して伝わってくることも多いようです。

予備校の選択や、参考書・問題集の選び方・使い方、効率の良い勉強の仕方、

大学の併願パターン等が学校の中でリアルに語られているのです。

 

日比谷に通っていた教え子から聞いた話ですが、ほとんどの生徒が東大を初めとする

難関国立大学を目指しているため、早稲田や慶応を滑り止めで受けたこと

(あるいは受かったこと)を友達に内緒にしている生徒が多いとのことでした。

 

これは筑駒や開成等の進学校でよく聞く話ですが、一流進学校の受験生としての

プライドを持っている生徒が増えてきている証左だと思います。

 

これらは、数年前までの都立高校では考えられないことでした。

生徒たちが身を置いている環境や、

その集団の中でのスタンダードがいかに大きいかということです。

 

 

 もう1点、進学重点校に指定されてから、部活の日数・時間等の制限が

かなり厳しくかかるようになりました。

実はこのことも、大学の合格実績が向上した大きな理由の1つです。

 

それまでは、力がある生徒が高3の夏くらいまで部活に明け暮れてしまい、

結果「一浪は仕方ないよね」という状況になってしまうことが多かったのです。

 

学校や部活によりだいぶ温度は異なりますが、

「活動は週4日まで」、「大会の前でも週1日は完全にオフ(勉強するということ)の日を作る」

「夜6時までに完全下校」、「テスト前の1週間は活動禁止」、

「夏休みの活動は20日まで」、「原則高2で引退する」等々・・・

 

生徒たちは様々な制約の中で部活に取り組むようになりました。

 

学校によっては、成績が下がってくると、レギュラーからはずされたり、

部活をやめることを勧められるケースもあるそうです。

 

特に、高1・高2のうちから、「勉強が主で部活は従」だということを

(建前の部分はあったとしても)刷り込まれていることが、

大学受験に向かう意識付けの部分でとても大きいと感じます。

 

10年ほど前までは、この部分で私立進学校と違いが非常に大きく、

それがそのまま大学受験の結果の差につながっていたのです。

 

ただしそのために、全国大会で活躍してきたような高校の看板クラブの戦績が、

近年苦しくなってきたという話も聞こえてきます。

 

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

 

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(4)進学重点校の大学進学実績はなぜ改善できたのか?<その2>

14年08月18日

 

 

 2つ目には、「競争原理」がはたらいたという点が大きいと思います。

 

もちろん、生徒のレベルが上がったために、生徒間の競争意識が高まったという点もあるのですが、

ここで取り上げたいのはまったく違う視点です。

 

1つは、高校ごと、特に進学重点校同士の競争意識です。

 

一昔前では考えられないことですが、

進学重点校は高校ごとに大学合格実績の目標を設定し、

ホームページ等で公表しています。

 

東大◯人とか、国公立大学◯名とか、まるで予備校のホームページと

見違えてしまうような文言が並んでいます。

 

毎年、大学入試が出揃うと、その結果も公表することになりますし、

進学重点校同士で勝った負けたという熱いバトルが展開されています。

 

合格者数だけでなく、センター試験の平均点や、上位者の割合等、

様々な切り口で高校の取り組みが評価され、

都教委が進学重点校の高校ごとの成果をまとめた資料を公開したりします。

 

また、進学重点校として継続して認定されるためのデットラインがあるため、

数値目標に到達できないと進学重点校の指定をはずされてしまう可能性もあります。

 

(実際、青山は2年前に一旦はずされることが決まっていました。

今春合格実績が回復したため、継続することになりましたが・・・)

 

進学重点校は、教員配置や予算面で優遇措置があるため、

この指定をはずされてしまうということは、

高校にとって正に死活問題なのです。

 

そういう事情も含めて、成果が出ていない高校の管理職には、

かなりプレッシャーがかかっているようです。

 

学校ごとに大学入試における数値目標が設定され、競争にさらされるということは、

それまでの都立高校では考えられないことでした。

 

今では、近隣の私立高校に対しての(大学合格実績での)ライバル意識を

露骨に表明している高校もあるほどです。

 

 

2点目は、教師間の競争意識です。

 

進学重点校の教員は原則として公募制になっていて、

都内全域から我こそはという教員が手を挙げて立候補しています。

 

もちろん今までの指導実績も考慮されますし、

小論文の提出が課されると共に、高校ごとに校長が直接面接を行って

最終的に採用を決定しています。

 

大学受験の参考書を執筆している有名な教員や、

大学受験の教科指導・進路指導について、

予備校の講師顔負けの実力を持つ教員がいる高校もあります。

 

全体的には、(生徒指導に関して)意欲の高い教員の割合が

高いことは間違いありません。

 

都立高校の場合、規定で6年間は同じ高校に在籍する場合が多いようですが、

進学重点校の場合、「使えない」と判断されれば、それより短い期間で

他校にとばされるケースもあるようです。

 

高校によって対応は異なるようですが、実力テスト(偏差値の出る全国模試)

の平均点や、生徒のアンケート結果を重視して、教員の処遇を判断している

高校もあります。

 

高校の中で、先生方も競争にさらされているわけです。

このことによる生徒指導に対する緊張感が、進学重点校躍進の

要因の1つになっていることは間違いないでしょう。

 

 

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(3)進学重点校の大学進学実績はなぜ改善できたのか?<その1>

14年07月18日

  

前回書いたとおり、7校が進学重点校に指定されてから、

各校ごとの大学受験の合格実績・進学実績が大幅に改善したことは

間違いありません。

 

そういう意味では、都教委がこの一連の改革によって狙いとしていたことは、

一定達成できていると言えるでしょう。

 

では、なぜこれだけ短期間で合格実績を改善することができたのでしょうか?

 

高校内部の指導の状況を中心に、要因を考察してみます。

 

入学時点で優秀な生徒を確保できるようになった

 

実は、これが大学進学実績が伸びた一番の大きな要因だと思います。

進学重点校の指定前と較べて、

優秀な生徒が入学してくるようになったのです。

 

特に東大をはじめとする国立最難関レベルは、

ある程度素質のある生徒を一定数集めなければ、

いくら高校側が頑張ったとしても、

合格者を増やすことはできないのです。

 

ただし初期段階では、進学重点校に指定されたという事実よりは、

「入試問題の自校作成」により問題が難しくなったこと、

 

「特別選考枠(いわゆる1割枠)」により内申点が足りない生徒にも

チャンスができたこと等により、

私立難関校受験者の併願校として受験がしやすくなったことが

大きかったように思います。

 

指定後数年間で、特に日比谷・西の大学の進学実績が急増し、

マスコミ等で取り上げられる機会も増えました。

 

ちょうどそのタイミングに合わせて「リーマンショック」の影響もあり、

世の中の不景気が一気に進んだことも都立志向を強める要因になりました。

「都立から東大をはじめとする難関国立大学に行けるんだ」という

気運が一気に高まり、さらに都立人気(正確に言うと都立進学重点校人気)

が加速していきました。

 

 

具体的な事例を挙げた方がわかりやすいと思います。

進学重点校の1つ国立高校のすぐ近くに桐朋高校があります。

 

男子校の中高一貫校ですから、国立高校とは雰囲気が

だいぶ異なる学校です。

 

高校受験の段階では以前から併願(出願)者が結構いましたが、

15年前頃までは、桐朋高校に合格したのにそれを辞退して

国立高校に進学する生徒はほとんど聞いたことがありませんでした。

 

つまり桐朋高校に合格した時点で都立高校の受験は棄権した生徒が

多かったということです。

 

しかし今では、位置づけがまったく逆転してしまい、

桐朋高校と国立高校両方に合格して桐朋高校に進学する生徒は

ほとんどいなくなりました。(都立棄権者も含めて)

 

結果、大学の合格実績を比較してみても、

15年前にあれだけ差があった(桐朋高校の方がずっと上だった)のが

次第に縮まり、今は国立大学トータルで見たら国立高校の方が上と

言える状況になってしまっています。

 

東大や医学部等の国立最難関や難関私大の合格者数では、

依然として桐朋の方が上回っています。

 

開成や筑駒に合格したのに棄権して都立進学重点校に進学する

生徒も出始めました。

 

日比谷・西は毎年数人ずついるようですし、

国立も数年前に開成・筑駒両方棄権して入学した生徒がいたそうです。

 

都立進学重点校を第一志望とする生徒が、早慶付属高校を滑り止めとして

受験するようなケースも多く目にするようになりました。

 

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

 

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(2)進学重点校に指定されて、合格実績はどのくらい増えたのか?

14年07月10日

 

進学重点校は、国立大学をはじめとする難関大学の合格実績を

増やすことを目的に指定されました。

 

スタートしてから今年で13年目を迎えますが、

どのくらいの成果につながっているのでしょうか?

 

この間の大学の合格者数の推移をこの場で簡単にまとめてみます。

 

進学重点校に指定される前(2001年)、

全7校が指定された後に入学した生徒が卒業した年(2007年)、

そして今年の春(2014年)の3つの年度の合格者数で比較しました。

 

合格者数の表記 → 総数 (内現役)

合格実績推移

 

結論

 

1、 進学重点校に指定されたことにより、難関大学の合格実績の増加に

  確実に結びついている。

 

   進学重点校に指定された直後(指定後に入学した生徒が卒業した年度)

  に早くも結果に結びついているが、その後の7年間の伸びも大きい。

 

 

2、 東大をはじめとする最難関国立大学は、日比谷・西・国立の3校が

  大きく数字を伸ばしている。

 

   戸山・八王子東は、このレベルについては合格者数を伸ばせていない。

 

   青山・立川は東大合格者数こそ少ないものの、近年東工大・一橋大の合格者数

  は増えてきていて、ようやく成果が形となってきている。

 

 

3、 進学重点校の最大の使命は、「国公立大学合格」であることは間違いない。

 

  その部分においては、7校すべてが大きな成果につながっている。

 

   近年の合格者数は、進学重点校指定前と較べると、合計で5割増、

  現役では7割増となっている。

 

    国公立大学は基本的に1人1校しか受験できないことを考えると、

  日比谷・国立・八王子東は高3卒業生の3割~4割が国公立大学に

  合格している計算になる。

 

   立川等、一番少ない高校でも卒業生の2割近くが合格している。

 

 

4、 私立難関大学の合格者数も確実に増やしている。

 

   早稲田・慶応・上智の現役合格者数は、進学重点校指定前の

  1.8倍程度となっている。

 

   ただし、国公立大学の滑り止めとして、1人で複数学部に合格している

  生徒が多いことは知っておく必要がある。

 

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

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(1) 都立進学重点校って何?

14年07月02日

 

正確には「都立進学指導重点校」といいます。

石原慎太郎都知事の時代に、「都立高校の復権」を掲げて

肝入りでスタートした「都立高校改革」の一環として設定されました。

 

「進学指導重点校」設置の趣旨については明確です。

 

学校群の導入以降低迷していた大学入試における合格実績を回復させること、

特に国立大学をはじめとする難関大学への合格者を増やすこと

に焦点を絞ったのです。

 

当時、公立高校の取り組みとしては、全国でも前例がない

画期的なものでした。

 

2001年に日比谷・西・戸山・八王子東の4校が、

2年遅れて2003年に国立・青山・立川の3校が

「進学重点校」として正式に指定され、7校すべてが出揃いました。

 

現在もこの7校が「進学重点校」として指定されています。

(青山は近年の大学の合格実績の低迷により2014年度末で

指定を解除されることになっていましたが、2014年春の大学入試に

おいて顕著な合格実績がでたために、再指定となりました)

 

 

進学重点校に指定されると、大学入試に向けて様々なメリット(特別扱い措置)

がありますが、大きな柱は以下の通りです。

 

  1. 都内全域から教員を公募し、学習指導・進路指導に優れた教員を配置する。
  2. 日常の補習や長期休業中の講習会等を充実させる。そのための必要な予算措置を行う。
  3. 入試問題は英数国の3教科について、学校ごとに「自校作成問題」を使用する。(2014年度からはグループ作成問題)

 

 

進学重点校のしていがスタートしてから13年が経過しましたが、

上記の3項目については(学校による取り組みの濃淡は多少ありますが)、

概ね当初の狙い通りの形で進められていると感じています。

 

自分から手を挙げて進学重点校に配属された先生が多いこともあり、

生徒の力をつけて大学に合格させることに熱心な先生が(あくまで相対的に)

多いことは間違いありません。

 

さらに2010年には、進学重点校指定の「基準」が具体的に公表され、

この基準を下回ると指定からはずされるというプレッシャーが

各高校にのしかかるようになりました。

 

基準は以下の通りです。

  1. センター試験において、5教科7科目で受験する生徒の割合が在籍者の6割以上。
  2. センター試験において、平均80点以上の生徒の割合が在籍者の1割以上。
  3. 東大・京大・一橋・東工大・国立大学医学部に、現役で15名以上合格。

 

この3項目について、毎年高校ごとに結果が公表され、

基準に足りていない高校は(特に管理職が)都教委からプレッシャーをかけられているようです。

(数年前の話ですが、ある校長先生が3月末頃にとても落ち込んでいたのを思い出します・・・)

 

前述した通り、青山高校は近年、この3つの基準すべてに足りていなかったのですが、

2014年の大学入試において生徒たちが頑張って、

3つの基準をすべてクリアして「進学重点校」への残留が決まりました。

 

残りの6校では、立川高校が基準をクリアすることが苦しい状況になっています。

 

(文責:GS進学教室 後藤高浩)

 

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株式会社ジー・エス代表取締役

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