『都立国際高校 国際バカロレア 小論文分析』
今年5月に国際バカロレア(ディプロマ・プログラム)の認定を取得し、
正式に国際バカロレア認定校となった都立国際高等学校の小論文の問題分析を行う。
国際バカロレア・ディプロマ・プログラムが要求する能力をはかる問題としては、
標準的な問題に見えるが、
これを現状の日本の教育制度にある中学生が入試として受けるには、
かなりの準備・訓練を要するものと思われる。
特に英語や小論文においては、
中学生に対して高度な思考力や言語運用能力が要求されている。
現行の教育制度の枠組み(特に公立校)では、
対応は難しいものと見うけられる。
また、募集人員も一学年25人という枠で競争が激しいものとなることが予想される。
さて、ここからは特に小論文のサンプル問題の分析を行う。
小論文検査問題の概要は、
・与えられた複数の資料を分析し、課題を設定する。
・自ら設定した課題の解決策を論述する。
・文字数は日本語では600字程度、英語では300語程度とする。
とされている。
サンプル問題では、
「国連事務局における衡平な地理的配分の原則が適用されるポストに勤務する職員の状況」
についてのデータが表1として提示され、
表2では各国の国連通常予算分担金の割合が示される。
さらに、資料1では「国連で求められる能力」のチャート、
資料2では国連公用語のチャートが掲載されている。
受験者はまずもって、これらの表ならびに資料を自分で分析し、
問題点を見出さなければならない。
ある問題が提示され、それを解くという形式の現行の試験問題とは大きく異なる。
こうした小論文の形式は、現行の大学入試におけるAO入試や推薦試験等で行われており、
課題としてはそれらと同等の能力が求められていると言っても過言ではない。
資料や表のどこに目をつけ、
課題とするにふさわしい問題を自ら設定できるか…試験突破の第一の要点となる。
第二の要点として、
自ら提示した問題の解決策を、これも自分で提示しなければならない。
設定した問題に妥当な解答を与えなければならないのである。
最後に、問題ならびにその解決策を日本語であればわずか600字でまとめあげる必要がある。
以上のような検査試験に対していかなる準備・訓練をしたらよいか。
第一に、資料分析の技法、
要するに資料のどのような点に着目するかという訓練を行わなければならない。
サンプル問題の資料では、
日本が予算分担金の分担率に対して、
「望ましい」職員数よりかなり少ない職員しか人員を満たしていない点が顕著である。
また、米国のように予算負担金を多額に拠出している国に割り当てられる職員の
ポスト数が多くなることは、
世界的な問題に対処すべき国連という組織の健全な運営にとって
望ましいことなのかという点にも着目できるだろう。
このような、課題提示をするための資料分析の「目」を養わなければならない。
第二に、課題が提示できたとして、
それに対する解決案を提示できるかについては、
明らかに実現不可能であったり、荒唐無稽な方法や、
奇抜な提案にならない「妥当」で「現実的な」解決策を提示しなければならない。
これに対しては、訓練をする上で、
社会的問題に対する視野の広さや、
現実的な問題に対する建設的な思考力を身につけて行かなければならない。
したがって、適切な指導者との対話や、
新聞・テレビ・マスコミ等の情報から問題を分析し、
自分なりの解答を与える訓練を日頃から行っていく必要がある。
最後に、文章を記述する技術的な訓練も必要だ。
問題とそれに対する解決策を600字という制限のなかでコンパクトにまとめなければならない。
これも一朝一夕では身につけられない。継続的な訓練を要するだろう。
はじめに述べたように、
以上のような訓練を現状の日本の教育制度にある中学生が一人で行うのは困難である。
どの試験科目に対しても適切な指導者とともに対策・訓練を行っていく必要があるだろう。
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Miracle 特別講師
県立浦和高校受験専門塾 雄飛会 代表
雄飛会プロデュース 小論文対策 AO入試個別塾 プロデューサー
一柳忠宏