二〇二〇年度からセンター試験に変わって
新しい大学入試が行われます。
果たしてどう変わり、それが小学校等にどう影響するのか、
保護者がどのように考えていけばいいか、
という質問にお答えします。
最初に断っておかなくてはいけないのが、
記述・応用問題が増える、
難しくなるという次元の話ではありません。
学力の観点が変わる
これまでは知識・理解が評価され、
点数や偏差値で測ってきました。
知識・技能に加え、
思考力・判断力・表現力が強調されました。
そのことの意味を表にまとめました。
出典:首都圏模試センターホームページより
ザビエルを問う問題を、
縦軸は上に行くほど難易度が高くなり、
横軸は右に行くと観点が変わります。
こうみると一口に知識といってもレベルがあり、
思考力といっても深さがあることがわかります。
従来のセンター試験ではA1とA2、
あとはB1を選択問題で問うていました。
現高2生から実施される
「大学入試共通テスト」では
B2・B3を問うことができます。
また各大学の個別試験ではC領域が問われます。
大学入試が変わることを受けて、
高校の授業が変わり、高校入試が変わり、
中学の授業が変わり、小学校の授業も変わります。
それが二〇二〇年からではなく、
大学側はこの変化で
大学側が望んでいる生徒が
入学できるかどうか知るために、
三年ほど前から大学入試を変え、
それを受けて高校入試も変わってきています。
石川県は全国でもこうした変化に敏感な県で、
石川県公立高校入試はもう変化しています。
授業が変わる、英語が変わる
もうひとつ文科省が強調した学力は、
主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度です。
これによって学校の授業に、
アクティブ・ラーニングのような、
協働で意見をまとめたり、
それらを発表し、
論評しあったりという授業が加わります。
さらに英語は、従来の「読む」「聞く」「書く」から、
「話す」を加えた四技能評価になります。
英語はこの改革を受けて、
小学校英語が教科化されます。
勉強が面白くなる改革
これらの改革に批判が無いかというと、
賛否両論です。
しかし今まで
「点数や偏差値を追いかけて、
何でこんなことしているんだろう」
という今までの勉強より、はるかに面白さを感じられる可能性が高いです。
また、勉強の楽しさを、
「点数が上がりさえすれば世の中や他人に無関心でも良い」
といったミスリードも起こりにくくなります。
英語に関しても、「読めるけど話せない」というのは、
言語取得としては異常事態だと思うのです。
それが少しでも解消に向かうならば、
賛否はあっても歓迎すべき方向性だと思います。
これらの改革の根底は、
正解が無い社会で粘り強く考える力を育てたい、
というのがあるようです。
今後運用面で混乱もあるでしょう。
保護者の皆様は、これらの混乱を叩くのではなく、
試行錯誤自体が進歩だと捉えていくことが大事です。
小さいうちに具体的な経験を
例えば英語が好きな人は、
単語や文法を覚えるのが好きなのではなく、
英語を通して得られる異文化の面白さや日本の面白さです。
海外から発信されることに触れたことが無い子どもが、
英語に強い関心を持てるわけがありません。
ですから、
小さいお子さんには
たくさん具体的な体験をするのがいいと思います。
ご家庭は最強の教育機関ですよ。